当院でよく使う矯正装置について説明します。文章の説明と実例を合わせることで、矯正治療が始まった方に便利なように作りました。
急速拡大装置 上顎を広げます
固定式で、真ん中にあるネジを回転させることで少しづつ横に広がります。取り外し式の床矯正の装置とは、全然別物です。
この写真では、前歯を押すバネを組み込んであります。この写真でもおわかりのように、型取りをして石こうを流して模型を作り、その上で技工士さんが作ります。ネジを回す頻度は1週間で2回のペースです。
実例を載せます。
前歯がうまく並ばないのには、原因があります。顎が狭いのもそうですが、狭いことで2次的に、呼吸や、姿勢や、舌の動きが悪くなります。床矯正と違って、骨に直に作用するので効果が確実です。
装置を入れている期間は、3ヶ月以内です。取り外しの装置ではないので、期間を設定できます。前歯の重なりが自然とほどけてきました。
綺麗になりました。タイミングさえ合えば、半年以内に改善できます。前歯を整えるのに、部分矯正を行っています。ただ広げるだけでは、無理だと思います。
リンガルアーチ 前歯の受け口ケースで使います。
リンガルアーチ、日本名は「舌側孤線装置」と言います。奥歯に固定を求めてバネの弾力で、反対咬合になった前歯を後ろから押すものです。取り外し式の床矯正と違って固定式ですので確実な効果が得られます。
固定式にすることで責任は歯科医院側が負うことになります。
バネがはみ出しているのが、わかります。
実は、このケースはかなりの難症例でさらなる処置が必要です。矯正終了は高校生ぐらいを予定しています。前歯を出しておしまいとは行かないケースが反対咬合(受け口)にはまれにあります。初診の時に、横向き骸骨レントゲンを撮影して診断を行えばわかります。
ジャンピングプレート(出っ歯のケースに)
上の前歯を整えても、出っ歯が残るケースで「下顎の成長」を促すことで改善できるケースに使います。子供さんの場合は、ほぼ改善できます。期間は個別によって違うのでうまく言えません。使用は寝る時だけです。
噛み合わせが深くて、出っ歯でした。親御さん本人ともにが気にされていたので始めました。出っ歯の治療は、ほぼ拡大装置も併用するので時期の選択が必要です。
夜間だけ使用してもらいます。調整も微妙ですし、何より子供さんの成長の力を利用する装置なので期間を明示できないのが大変です。
治りました。部分矯正で歯並びも整えています。
出っ歯の改善もさることながら、横顔の変化が著しいです。時間はかかりますが、絶対に外せない装置だと思います。毎回資料を手渡すことで患者さんのモチベーションを維持することがコツです。呼吸や姿勢の改善も得られるケースが多いので体にも良いと思っています。
バイヘリックス 下顎の拡大や奥歯の傾斜を改善
固定式で外せません。お口の外で少し広げてから装着します。お母さんの手間は取りません。調整時には外すので取れやすいセメントで付けてあります。付けっぱなしなので持続的な効果が期待できます。
舌位置訓練装置(お願い使ってね)
基本的に患者さんに管理の責任が行く装置(床矯正など)は使用しませんが訓練装置は幾つかお願いします。上顎がキチンと広がって、下の前歯の位置が良くなって、気道が通ってることを確認して使用することが多いです。
真ん中の穴の位置に舌を持っていきます。
前方牽引装置
受け口の症例で上顎自体を前に成長さえたいときに使用します。
夜間のみの使用です。眠れるの?寝相は?と質問がありますが、大丈夫です。ゴムの弾力でゆっくりと成長を促します。個性があるので、期間の明示はできませんが、横向き骸骨レントゲンで計測して期間を決めます。